五百円台のローター。カートに入れる指も軽い。どうせこんなもんでしょ、と思っていた。
二十七歳の実咲さんは、弱から中へ上げた瞬間に息が止まったという。想定外だったのは自分の身体のほう。
(え、待って、これで?)
そのまま達した。三年経った今も動いている。電池を換えれば元通り。
防水ではないし、静かとも言えない。それでも役割は果たしている。高い吸引トイの広告を見るたび、これで足りている自分を確認するそうだ。
安いアダルトグッズは、性能の天井が低いのではない。当たり外れの幅が広い。そこを踏まえて選べば、五百円でも十分に届く。
安くても当たりやすい型がある
単純な振動のローター
振動が強すぎると痛い人にとって、安いローターの弱さがちょうどよく働くことがある。機能が少ないぶん壊れる箇所も少ない。
二十五歳の由芽さんは最初、当たる場所が分からないまま、先端が尖ったピンポイント型を買ってしまった。ただうるさいだけの箱になった。
次に選んだのは細いスティックの五百円。まず場所を探して、それから段階を上げる。この順番にしてから、ようやく道具として機能し始めたという。
使い切りのカップ
三十二歳の健吾さんは、八百円の定番カップを常備している。真空の締めが安定していて、毎回の当たり外れがほとんどない。
高い二層ホールと比べれば持続時間は短い。そのかわり手入れがゼロ。旅行と単身赴任のときだけ出す。
安いものを本番用に据えず、消耗品と割り切る。これでストレスが消えたと話していた。
洗って保管するタイプの安いホールは、乾燥と粉を怠るとすぐベタつく。手入れの有無で、同じ価格でも扱いが変わってくる。
防水の単純スティック
三十九歳の浩平さんはワンコインの防水スティックを買った。パターンは一つだけ。それでも水回りで使える一点が効いた。
高い充電式を風呂場へ持ち込むのが怖かったらしい。音も気にならない範囲。
機能が貧弱でも、使える場所が増えれば出番は増える。壊れても諦めがつく金額、というのも大きい。
練習台としての卵型
二十三歳の拓真さんが大学生のとき試したのは、五百五十円の卵型ホール。締めは普通、刺激は思ったよりある。
使い切り想定でも、洗って何度か使えた。本格的なホールへ行く前の練習台にちょうどよかったという。
腰を固定できない小ささは弱点。ただ、その小ささが隠しやすさになる。一人暮らしを始める前は、これが決め手になる人もいる。
安さで失敗するのは、こういう場面
梱包で潰れて届く
三十五歳の直哉さんは、総合通販の安売りでホールを三つまとめ買いした。届いた一つが、箱の時点で歪んでいた。
安い店ほど輸送用の箱が薄い。専用店のほうが箱が厚い、と後になって知ったそうだ。
初期不良の連絡が面倒で、結局そのまま捨てた一本がある。金額は小さくても、気分の削られ方は高い買い物の失敗と変わらなかったらしい。
海外の格安多機能
三十四歳の朱莉さんが手を出したのは、海外の格安電動。機能表示は華やかなのに、モーターが弱く、充電が持たない。
説明と実物が違う。返品の手続きも面倒で、途中で諦めた。
結局、国内の三百円台の小型ホールのほうが、刺激は単純でも気持ちよかったという。多機能と書いてあるほど、一つずつの完成度が落ちていることがある。
コード付きの断線
三十歳の沙耶さんは、千円のたまご型を、どうせすぐ壊れると思って買った。振動は意外に強く、パターンも多い。
数ヶ月ほぼ毎日使っても、電池交換で復活する。静音でも完全防水でもないけれど、二つ買っても普通の一本より安いので予備を持った。
コード付きは断線しやすいと聞いてから、有線は引き出しの奥へ。無線の安いものを足したそうだ。
用途を取り違える
由芽さんのもう一つの失敗は、挿入用の太いものをクリ用のつもりで使ったこと。潤滑もないまま無理をして、痛めた。
安さが原因ではない。用途の表示を読まなかったのが原因。
挿入用か、外側用か。素材は何か。防水表記はあるか。この三行を読むだけで、痛い思いはかなり避けられる。
安く買うときに、削ってはいけないもの
ローションは減らさない
グッズの値段を下げるのはいい。潤滑を削ると、痛みと摩擦だけが残る。
同じ金額を出すなら、大容量の水溶性ローションを買ったほうが生活が楽になる、という声もあった。安いグッズと安い消耗品は、役割がまったく違う。
シリコン素材のグッズにはシリコン系ローションを合わせない。表面が傷むことがある。水溶性を選んでおけば外さない。
素材の表示を確認する
極端に安い製品には、素材名が書かれていないものがある。肌に触れる時間が長い道具で、そこが空欄なのは避けたい。
かゆみや赤みが出たら、その日で使用をやめる。症状が続くなら皮膚科へ。安さと引き換えにしていい部分ではない。
洗って、乾かして、粉をまぶす
繰り返し使うタイプは、洗浄後に完全乾燥。日陰で立てて乾かす。乾いたらコーンスターチかベビーパウダーを薄く。
ここを飛ばした夜の翌週、引き出しを開けたらべたっと張り付いていた。においも出る。安いものほど、この一手間で寿命が倍近く変わる。
安く試して、当たりだけ値を上げる
千円台で好みの系統が分かる
二十八歳の誠司さんは、千四百八十円のホールで感動した。素材が柔軟で、上下に動かすだけではない使い方ができた。
同じ店の別シリーズもすぐカゴに入れたという。
高いブランドへ行く前に、この価格帯で自分は締めが好きなのかヒダが好きなのかを確かめられた。これが最大の収穫だったと話していた。
買い足しの順番
安いものを何個も並べるより、最初から一本に金をかけるべきだという意見もある。どちらが正しいかは、自分の好みを知っているかどうかで変わる。
系統がまだ分からないうちは、安い価格帯で外れを引いておいたほうが安い。当たった系統だけ、次に値を上げる。
捨てるときのことも先に
安いものほど処分の回数が増える。中身が分からないよう包む、地域の分別に従う、電池や充電池は本体から外して指定の回収へ。
ここを考えずに量産すると、引き出しの奥に処分待ちが溜まっていく。はぁ…と溜め息が出るのは、たいていこの瞬間。
値段が低いこと自体は、何も恥ずかしくない。使い方に合っていないものを、安さだけを頼りに増やしていく。それが結局いちばん高くつく買い方だった。

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